久しぶりの更新

yamakenjog2009-08-28

 7月3日に記事を書いて以来、更新していなかった。私中学校社会科教師をしてきた。兵庫教育大学の大学院にも行き、社会科教育に関する研究を行ってきた。そして、修士論文や学会などで研究を発表してきた。未発表の論文もある。このブログを書き始めたのも、梅田望夫氏の『ウェブ時代を行く』を読んだからである。その中で「ロングテール」という語句がある。ロングテールとは恐竜のしっぽは長いらしい。そしてだんだん細くなっているらしい。このように急流のしっぽのように、長くだんだん細くなるように、ある情報や知識は必要とする人がだんだん少なくなるらしい。しかし、必要な人にとっては価値があるらしい。そうすると私のやってきたことも、ごく少数かもしれないが、必要としている人がいるかもしれないと思うようになった。もしそうなら、これを何らかのかたちで発信することも意義あることかもしれないと思うようになった。何らかの機関を通して発信できないだろうかと考えるようになった。もしそれがないならば、自分のホームページを立ち上げて、ここから発信しようかと考えているところに、私が大学院修士課程を修了した兵庫教育大学から手紙をもらった。その手紙には、兵庫教育大学では、教材文化資料館を創設するために実践記録を求めていることが記されていた。ここでは電子データにして保存し発信することを計画している。そこで、私が書籍や教育誌に、あるいは学会の研究大会で発表したものや、未発表の研究論文を兵庫教育大学の教材文化資料館に保存し発信してもらおうと思い、これまで私のコンピュータに書きためてきたものを整理していたのである。このため、コンピュータに向かってはいたが、このブログを更新することができなかった。その内容の紹介はは次のようなものである。

山本憲令の著作と論文・発表資料
よく現場の研究会などで、「生徒に『生きてはたらく知識』を習得させなければならない。」といわれていました。そこで、「生きてはたらく知識」とは、どんな知識だろうか、どんなときにどのようにはたらくのだろうか、またどのように習得させればよいのだろうか、という疑問を抱きました。そこで兵庫教育大学大学院へ行き、岩田一彦先生のもとで勉強をしたいと思い希望を出しました。3年続けて希望を出すと許可が出て、兵庫教育大学へ進学することができ、岩田一彦先生の御指導を賜り、自分なりにその答えを「修士論文「知識分析を視点とした社会科授業の分析と授業モデルの展開」1989年12月20日兵庫教育大学付属図書館所蔵 」にまとめることができました。そして、その一部を「九州における蜜柑と促成野菜の生産」として『新中学校社会科 授業法略(ストラテジー)の理論と実践−地理編』岩田一彦編著1992年清水書院pp.108-114に書きました。
 これらの中で、社会認識を深める基本的枠組みとして、「行為を軸とした因果連関モデル」を、そしてこれに基づいて、「行為の選択過程」と「行為を軸とした原因探求過程」を社会認識を深める思考法として提案した。そして、これに基づく授業モデルを示した。「行為を軸とした因果連関モデル」は社会認識を深める基本的枠組みであり、「行為の選択過程」と「行為を軸とした原因探求過程」は社会認識を深める思考方法であるので、地理的分野だけでなく、歴史的分野や公民的分野にも適用できると述べた。そこでそれを立証するために、歴史的分野の授業モデルの執筆依頼を受けたので、執筆したのが、「富国強兵」朝倉隆太郎編『現代社会科教育実践講座第10巻日本の歴史の学習?歴史的内容の授業?』現代社会科教育実践講座刊行会1991年9月1日pp.146-151である。ここでは、歴史学習が合理的意志決定能力の訓練の場ではないか、という思いがあったので、「行為の選択過程」として授業モデルを作成した。しかし、熊本大学で「日本学校教育学会」が熊本大学であり、そこで発表することを依頼されたので、「行為の選択過程」と「行為を軸とした原因探求過程」の二つの授業案を作成し発表した。
  「行為を軸とした因果連関モデル」や「行為の選択過程」、「行為を軸とした原因探求過程」はすべての社会科授業に適用できるが、すべての授業をこれにもとづいて行うのは時間的制約があり不可能である。一部の教材に適用するか、この考えを一部組み込むのがせいぜいである。そこで次に取り組んだのが、夏休みの宿題としての「課題研究レポート」の指導である。それをまとめたのが、「社会科研究レポート」学習における方法知的学力の育成方法と評価方法の開発」である。
必修教科の他に選択教科としての社会科が設けられるようになった。そこで実践した記録を「方法知的学力の育成指導法と評価方法の開発」未発表)にまとめた。また、総合的学習も行われるようになった。総合的学習についてもそのやり方は選択教科社会と基本的に同様であるが、ただここでは合理的意志決定能力育成にその目的があると考える。(総合的学習についての考え方)
社会科は暗記教科と言われている。一部には社会科の授業改革に取り組んでいる教師もいるが、学校現場では大部分は伝統的な知識注入的授業、暗記学習が行われている。学習指導要領や指導要録が変わり、学力観も「思考力」や「資料活用能力」が重要視されるようになったにもかかわらずである。その原因は澁澤文隆氏が指摘するように「授業が入試に影響され、入試を意識した指導が展開されると言うことである。ほとんどの中学生が高校へ進学するという現実のなかで、一般に、公立高校の入試問題は教科書で学習した範囲や程度が限定されるかたちで出題されている。このため、社会科テストの問題のほとんどは覚えているだけで解ける、覚えていないと解けない問題から好悪制されるといったかたちになっている。それだけに、社会科のテスト対策は、教科書に記述されていることをしっかり覚えることが大切であり、効果的である。その結果社会科の授業は何時しか教科書にこだわり、教科賞記述されていることを知識として覚えさせるような授業に陥る傾向が見られるようになった。」その一方で「例えば作業的、体験的な学習を取り入れて生徒の主体的な学習を促したり、適切な課題を設けて追求的な学習を展開したりするなど工夫すればするほどテストと授業が遊離する結果という皮肉な現象が見られた。このため、生徒間では、授業中に一所懸命考えたり追求したりして頑張っても仕方ない旨の言葉がささやかれ、次第に社会科の授業への消極的、受け身的な姿勢が目立つようになったりする傾向も見られ」るのである。
 実際に私も「伝統的な知識注入型」の授業を社会科の授業であると信じる保護者から、「入試に役立たない変な授業をしている。」と非難を受けたこともある。
 そこで高校入試のテスト問題を変えなければ、日本の社会科は変わらないと思うようになった。そこで、「思考力」や「資料活用能力」、すなわち方法知的学力を測定評価できるテスト問題の開発に取り組んだ。その結果を社会系教科教育学会に発表した(学ぶ力を測定評価できる社会科テスト問題の開発発表資料)。また、『社会系教科教育学研究11号』にも発表した。。(「「学ぶ力(「思考力、資料活用能力」)」を測定評価できる社会科テスト問題の開発」『社会系教科教育学研究第11号』社会系教科教育学会1999年pp.61-6
また、全国社会科教育学会でも課題研究部会で発表する機会を得た。( 全国社会科教育学会第50回研究大会『課題研究? 絶対評価−説明可能な方法化へ向けて」「知識を生み出す力(資料活用能力と思考力)を測定評価できるテスト問題の開発」)
このようにして、思考力や資料活用能力を測定評価できる社会科テスト問題を書きためてくると、これらのテスト問題を授業過程に即して組み立てて配列し、生徒に提示するならば、思考力や資料活用能力を生徒が自学自習で、習得できるのではないだろうかと考えるようになった。このようにして作成したのが「授業書・学習書」である。学校にプロジェクターが普及してくると、POWER POINT版で作成し、生徒に提示するようにした。さらに、リンク機能を利用して、生徒が誤答すれば、フィードバックしたり、ヒントや解説にジャンプするものも試作してみた。しかし、この作業は膨大なものになり完成しないまま定年退職になってしまった。

著作
●「私たちの県(熊本県)を調べよう」高山博之・水山光春編著『中学社会課題解決力を育てる授業の設計地理』日本文教出版平成16年9月30日pp.84-97
●「世界と比べてみた日本ABC判定基準と通知票記入例」『社会科教育No.528』明治図書2003年7月1日pp.78-79
●「多面的見方考え方を育てる『地域学習』の進め方」『社会科教育No.474』明治図書1999年6月1日pp.38−40
●「単元ごとの観点別評価テスト10国民生活と福祉の向上」北尾倫彦・祇園全禄編著『新しい観点別評価問題集中学社会』図書文化2004年6月25日pp.182-185

●「中学校地理使える評価基準をどう開発するか世界と日本の地域構成=使える評価基準の実例と開発ヒント」『社会科教育No.510』明治図書2002年3月1日pp.84-85
●「「学ぶ力(「思考力、資料活用能力」)」を測定評価できる社会科テスト問題の開発」『社会系教科教育学研究第11号』社会系教科教育学会1999年pp.61-6
●「九州における蜜柑と促成野菜の生産」『新中学校社会科 授業法略(ストラテジー)の理論と実践−地理編』岩田一彦編著1992年清水書院pp.108-114
●「社会認識の基本的枠組みに基づく問いの創出」『岩田一彦先生御退職記念論叢』東京書籍

論文・発表資料
修士論文「知識分析を視点とした社会科授業の分析と授業モデルの展開」1989年12月20日兵庫教育大学付属図書館所蔵
●全国社会科教育学会第50回研究大会『課題研究? 絶対評価−説明可能な方法化へ向けて」「知識を生み出す力(資料活用能力と思考力)を測定評価できるテスト問題の開発」
●「社会科研究レポート」学習における方法知的学力の育成方法と評価方法の開発?
●「概念と法則と理論と特色」岩田一彦先生還暦記念シンポジューム発表原稿
●「方法知的学力の育成指導法と評価方法の開発」未発表

授業書・学習書
一太郎
●世界の中の日本の気候
アメリカ農業
●マレーシア
熊本県
●白夜・極夜
●標準時と時差
●領土・領海・領空・排他的経済水域
POWER POINT版
●どこに工場を設けたらよいか
●なぜ疑問を発見しよう
●なぜ問題を厳密に科学的に
●緯度経度と海里
熊本県はなぜ工業がさかんでないのか
●工業がさかんであると収入が多いのに
●地域の規模に応じた学習「東京都」
●日本の河川の特色と自然的原因
●日本の食糧自給率と農業
●日本の川はなぜ洪水を起こしやすいのか
●白川は洪水を起こしやすい河川か
●標準時と時差
●なぜ、日本は人口密度が高いのか
●なぜ、稲作地帯では人口密度が高いのか

 もし兵庫教育大学教材文化資料館が正式に発足し発信されるようになったら、このブログとリンクさせるつもりです。

 その間ヨットを全くやっていなかったわけではない。長崎の小浜温泉にもクルージングに出かけてみた。また、熊本県の芦北の田浦までもクルージングに出かけた。今年は近場でちょこちょことクルージングをやってみて足慣らしをして、来年はロングクルージングを計画している。